白衣の天使はもういない?

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よくテレビドラマで見ていた看護師さん達のドラマでは、ナースキャップを被った若い女性の看護師さん達が、患者さん達や医師と様々なトラブルを乗り越えてくヒューマンドラマを繰り広げていました。

しかし、看護現場では近年効率化を図るようになり、実際に病院に行ってみるとドラマの看護師のスタイルは見られないのが現状です。

機能性を重視のスタイル

現在病院で見られる看護師の殆どはパンツスタイルです。ワンピースとナースキャップはもう見られません。一部地方の病院で、年配のベテラン看護師さんが着ているのをたまに見かける程度です。看護師の仕事をする上で必要とされるのは機能性と効率化です。

看護師さんの仕事は様々な仕事をしなければならなく、動きの激しい時もあり、ワンピース姿で足元を気にしながら働くことが困難で機能的ではありません。また、ワンピースは下着のラインがクッキリと目立つこともあり、若いナースたちは透けないインナーなどを付ける気遣いが必要でした。

最近の白衣は透けない素材もあるので、その面ではいくらかは解消されたようです。さらに、ナースキャップも仕事をする上では、邪魔な場合が多く髪をきれいに結んで仕事している看護師さんが殆どです。看護師の白衣はファッション性より機能性が重視され、それにより現場の効率化も進みました。

白衣のサイズに関する基礎知識

時代に合ったスタイル

上記のように効率化を図り機能性を重視したことにより、より活動的に救急搬送や入院患者への機敏な対応が可能となっています。また、ドラマの影響もあると言われていて、観月ありさや松下由樹が出演していた「ナースのお仕事」では、ナーキャップとワンピースの白衣姿が当時のナースから多くの支持を受けていました。

当時の看護師さんは「あ~さ~く~ら~」「せんぱ~い、すみませ~ん」のフレーズに憧れたものです。時代は移り変わり、若者に人気のコードブルーでは活動的な看護師を新垣結衣が熱演し、機能的なパンツルックが若い女性看護師達が憧れ支持を得たようです。

機能性と効率性がマッチして丁度良かったのか、多くの病院でパンツルックに切り替わりナースキャップも無くなってしまいました。コードブルーの前にBSで放送されていたアメリカの医療ドラマERでも、確かにワンピース姿の看護師はいませんでしたね。

看護師の仕事

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看護師の仕事は様々で、医師の指示や婦長指示、患者からのナースコール、そして自分の受け持ちの患者の世話に対応が求められます。それぞれ迅速にしなければならず、とても忙しく1日を過ごしています。看護師の1日の仕事の流れは、出勤したら自分の受け持ち患者のデータを担当ナースから引き継ぎ確認します。

その際、前の日に容体に変化があった患者の場合は、特に注意しなければなりません。その後、検温、血圧の確認を行いますが1人で出来る人は数値を報告してもらい、一方1人で計測出来ない場合は、看護師が測りパソコンにデータを入力します。

さらに、点滴や尿パックの量の確認をし、尿の量もデータ入力を行います。そして、尿が溜まっていたら取り換え、点滴も無くなったら外し取り替えます。検温、血圧のデータは1日4~5回程度行い、その都度PCに入力しなければなりません。

入力されたデータは、医師が患者を治療していく上で貴重なデータとなるので大切な仕事です。また、寝たきりで介助が必要な患者は、オムツ交換や体を拭いてあげることもします。1日三食の食事の配膳も行いますが、その際に食後の薬の配布をして、キチンと服用しているか確かめます。

患者が就寝した後も患者の様子を確認して、点滴の確認、尿パックの確認、オムツ交換をします。勿論、データはその都度パソコンに入力する必要があるので、夜勤の場合は仮眠を取れないことが多いのでのす。この様な過酷な仕事をする中で、ワンピースを着た白衣の天使を求めるのは酷なことかもしれません。

看護師の様々な苦労

医療現場で毎日様々な事が起こり、それに素早く対応しなければならないのが看護師です。患者さんにやさしく接する笑顔の裏で、日夜直面する苦労は計り知れないものがあります。例えば、入院している患者は様々で、おとなしい人もいれば、気に食わないと恫喝する人もいます。

中でも、認知症の人などは行動が予測できなく、常に気を配る必要があります。また、男性患者からセクハラを受ける場合もあり、セクハラ患者を叱りつけるような対応力とタフな精神力が求められます。勤務時間も不定期で夜勤があり、ローテーションを組んで回していても、看護師の体力的、精神的負担は少なくありません。

看護師にとってセクハラなどの精神的苦痛も負担ですが、人の生死に直面することも看護師にとっては精神的負担となっています。大病院などでは毎日のように救急患者が搬送されることが少なくありません。事故の患者などは血が噴き出し、内臓、骨などが出ている場合もあり、助かる人もいれば亡くなる人もいます。

さらに、入院患者でも昨日まで笑顔を見せていた患者が、急変して亡くなることもあります。しかし、看護師はいちいち悲しむ暇もなく、日々の仕事をこなしていかなければならないのです。このように看護師の苦労は絶えることが無く、肉体的にも精神的にもタフでなければなりません。

上記の仕事内容と合わせて考えると、白衣の天使と言うよりも、白衣の戦士と言った方が良いでしょう。

でもやっぱり白衣の天使

怪我や病気をして長期の入院を強いられたときは、どうしても気が滅入るものです。そんなときは元気な看護師さんの言葉に、元気をもらい勇気づけられることもあります。一昔前はワンピースから透ける下着に、心躍るシチュエーションもありました。

しかし、そんなことが無くなった今でも「早く良くなってくださいね、今日は顔色良いですね、」の一言で元気が出るものです。それは女性看護師に限らず、男性看護師同じです。男性看護師には女性看護師に遠慮しがちなことも、気兼ね無く頼むこともできます。

例えば、車椅子を押してもらうときなどは、男性の看護師さんの方が安心して任せられるような気がするものです。男女に関係なく看護師達は患者さんが1日でも早く病気や怪我が治り、元気になって退院していくことを誰もが願っています。

患者は看護師さんを頼り、看護師はそれを当たり前と捉え仕事に向き合ってくれています。医師には言いづらくても、看護師さんには言いやすいなんてことも少なくありません。けれども、近年医療現場では医師不足や看護師不足が取り沙汰されていて、特に地方の病院では深刻な状態になっているところもあるようです。

労働環境を改善して、少しでも多くの若者が医療の現場で働きたいと思う環境づくりが必要と言えるでしょう。ワンピースにナースキャップの白衣の天使ではなくても、元気に働く病院の看護師達の笑顔が本当の白衣の天使かもしれません。

1人でも多く若者が白衣の天使になることを期待したいものです。